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近藤美波
アタシは再び先生の車に乗って帰路に着いた。車が停まった場所は、夜のお店らしき看板がある2階建ての建物。看板には『Snack Sweet Devil』と書いてある。先生は1階の店の鍵を開けた。
ディアビリア
『さ、入って。美波はこういうところ、来るの初めてだよね。お酒ばっかりじゃないから、緊張しなくていいんだよ。』美波はバル(居酒屋)が初めてみたいで、ドア開けた瞬間から固まってた。かわいい。
近藤美波
アタシは、やはり緊張が勝っていたのか、思わずこう言った。『お邪魔します。』と。ずっと独りだったし、誰かと一緒に住むのも初めてだから、つい『人様のお宅』という意識が強まってしまったのかも。
ディアビリア
美波は出生惑星で過激派組織による過去の内戦により孤児となり、SPDの隊員に保護されたとのこと。今まで一人の環境に慣れていたためか、私には未だに他人行儀であった。『「お邪魔します」じゃないでしょ?』
近藤美波
あっ、そうだった。一緒に住むんだから、「お邪魔します」なんてヘンだよね。私はちょっと恥ずかしかったけどこう言った。『た…ただいま。』オトナが来るお店も初めてだから、緊張してたのかも。
ディアビリア
おかえり。いいコいいコ。あ、それと…『先生』なんて呼び方、堅苦しいな…そうだ。『お姉ちゃん』って呼んでみない?これからずーっと一緒なんだから。ね?
近藤美波
『おねえ…ちゃん』アタシは、先生…じゃなかった!お姉ちゃんの優しい微笑みに虜になり、顔を赤らめた。こんなに優しい人が、元受刑者だったなんて、ホントに信じられない。
近藤美波
アタシとお姉ちゃんは宇宙の出身だから、地球の人たちよりも体が丈夫だし、長生きできる。お姉ちゃんは、人間の年齢なら30代くらいの見た目だけど、実年齢は220歳なんだ。里子もたくさんいるんだって。
近藤美波
お店のキッチンから、買ったばかりの野菜を切るリズミカルな音、お肉をジューって焼く音が聴こえてくる。『スナック』って書いてあるけど、土日や祝日はランチ営業もしていて、いろんな星のお客さんが来るみたい。
近藤美波
お姉ちゃんは、SPD訓練生の教官の仕事の他に、事件の情報収集も兼ねて、『Sweet Devil』をやってるの。お客さんからいろんな話しを聴くから、お姉ちゃんはSPDには頼りになる情報屋なんだ。
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