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ドギー・クルーガー
そうだろうな。刃物を持った親に追いかけられ、刺される寸前だったところを、すんでのところで助けられた者もいるようだ。だからと言って、誘拐の事実は変わらない。何としても被疑者の手がかりを探し出すんだ。
ジャスミン
私は、スワンさんのアシスタントをしているコたちに、『コウモリのお姉ちゃん』のことを訊いた。とても強く、優しく、命を助けられた者もいるという。きっと愛情いっぱいに育てられたのだろう。
ジャスミン
彼らは、『お守り』と称したキーリングを共通で持っていた。防犯ブザー機能がついており、アリエナイザー同士の麻薬取引を偶然目撃し、口封じに殺されかけたところを助けられた子もいたという。
ジャスミン
私はそのキーリングに触れ、『お姉ちゃん』の姿をサイコメトリーで突き止めた。そして、彼女の自宅に任意同行を求め、訪ねたのである。
ジャスミン
私がボス(ドギー)から聞いた住所へ向かった。私が名乗ると、抵抗する様子を見せることもなく、彼女は素直に同行に応じた。彼女は怪力の者たちが多いトート星の出身のため私達をケガさせたくなかったのであろう。
ジャスミン
親の子供への殺気を感じて、いてもたってもいられなくなり、無理やり連れ出したと。あなた、ずいぶん心優しいのね。でも、あなたが誘拐したことの調べはついてる。残念だけど、逮捕させてもらうわ。
ディアビリア
彼らは地球出身のため、私が抵抗を加えたところで、疑いが晴れるどころか、トート星出身の私の握力で、彼らにケガを負わせてしまう恐れもある。私はジャスミンの手で、多数の惑星での誘拐容疑により、逮捕となった。
ディアビリア
私が逮捕されたことを知っても、里子たちはショックを受けた子も居たが、自ら面会に来て、『服役期間を縮めてほしい』と他の警官に懇願する子も居た。花やお菓子など、たくさんのプレゼントが私のもとに届いていた。
ジャスミン
これ、あなたの子どもたちから。こんなにプレゼントがあなたのもとに届くなんて、あなた、愛情深い人なのね。『地球人は頑丈じゃないから、私が守りたい』と。なぜそう思ったのか、私は彼女の肩に触れ思念を読んだ。
ディアビリア
私と同じサイコメトリー能力を持つジャスミンに、過去のビジョンを見せた。体が腫れるほどの暴力を受け、痣を隠すために季節感の合わない服を着た子どもの姿に、「痛々しい、かわいそうに…」と涙していた。
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