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沢木麻衣子、41歳。

警視庁戸倉署副署長兼生活安全課課長。階級は警視。

麻衣子はキャリアだった。

つまり警視庁に採用になった時点で下から3番目の階級の警部補からスタートする出世組だ。

麻衣子は警視庁戸倉署の副署長だったが、現在は生活安全課の課長を兼務していた。

麻衣子を知る上司や同僚は、皆、口を揃えて彼女を最強の美人刑事と評した。

それもその筈・・

麻衣子は東都大学を卒業した才女でありながら、空手三段、柔道、剣道ともに二段の腕前なのだ。

並の男なら、ひとたまりもなく倒されてしまうだろう。

射撃の腕前も一流だった。

大学生時代にエアライフル競技で何度も優秀な成績を挙げていたし、警察官になってからの射撃訓練でもÀ級の実力を誇っていたから。

加えて麻衣子を有名にしたのは、その類稀な美貌のせいだった。

もう41歳という年齢だったが、その美貌は麻衣子が警察官になりたての頃と比べても少しも遜色なかったのだ。

それは麻衣子が未だに独身であり、当然の事ながら、こどもを産んでいないせいかも知れなかった。



麻衣子はその優秀な頭脳と判断力、学生時代から習い続けてきた空手と柔道の腕前で数々の事件を解決してきた。

ヤクザやチンピラと格闘した事もあったし、スリや痴漢を捕まえた事も勿論、一度や二度ではない。

表彰を受けた回数も同期の警察官の中ではトップだった。

沢木麻衣子は、一見、近寄り難い美女でありながら、実は泣く子も黙る最強の女刑事なのだった。



そんな麻衣子が誘拐されたのだった。