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17歳でスカウトされ、芸能界の片隅からデビューした少女・姫乃優莉花（ゆりか）。
無垢でけなげな笑顔、透き通る声、柔らかな立ち居振る舞い。
見る者の心を癒すその存在は、瞬く間に注目を集め、
“業界の天使”“奇跡の新人”と呼ばれ、彼女はトップ女優へと駆け上がった。

けれど、彼女が頑張る理由はただ一つ――
応援してくれるファンのため。

「あなたを見るために仕事を頑張ってるんです」
「あなたは僕の生きがいです」
「かわいい優莉花ちゃん、今日も最高でした！」

そう言って、手を強く握ってくれるファンたちの声。
涙を浮かべて、まっすぐに愛を伝えてくれるその気持ちだけが、
優莉花を支えていた。

「この人たちを裏切りたくない」
「応えてあげたい。頑張ってる姿を見せたい」

そう信じて、優莉花は演じ、笑い、ステージに立ち続けた。

──だが、その“美しい心”が、狙われた。

所属していた芸能事務所の内情が悪化し、
優莉花はある日突然、何の説明もないまま、
悪名高い過激路線の事務所へと“売られて”しまう。

そこで彼女を待っていたのは、
アイドルのように愛された存在としてではなく、
商品として“使い倒される”現場の数々だった。

「君ならきっと、乗り越えられるよ」
「ファンも、君の限界を見たいと思ってる」
「これは愛だから。彼らは君を求めてるんだよ」

甘い言葉を囁くエージェントたち。
ファンの愛を“利用する道具”として差し出される優莉花。
断れば“裏切り者”、頷けば“ラブドールの継続”。

そうして、優莉花は少しずつ、
自分という人間を手放していく。

「私は平気。
ファンのみんなが見てくれるなら、どんな仕事だって…」

誰かに愛されたくて、
誰かを信じたくて、
彼女は微笑み続ける。

これは、
“愛されること”にすべてを捧げた少女が、
その心を搾取されながらも、
それでもなお愛を信じようとする、
優しくて、痛々しいラブドールの物語。