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eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第5章 眼差しのテンプテーション
「――」
日比野はその頃、デスクで今日の宿泊客リストをチェックしながら、イヤホンを通し二人の部屋の音を盗み聴いていた。
声が遠いが、今確かに美名の甘く啼く声がした。
昨夜のベッドでの一部始終の彼女の息遣いや喘ぎを楽しんだが、まさかまたこんな早くから淫らな声を聴けるとは――
日比野は端正な口元を歪めニヤリとし、資料に目を通す振りで耳に神経を集中させた。
『ああ……ダメ……っ!其処は……やああんっ』
声は、近くなったりまた遠退いたりしている。
恐らくベッドではない場所で交わっているのだろう。
『美名……っ……欲しいと言え……え?』
『やあんっ……意地悪……あああっ』
これ以上ない程に蕩ける矯声は、日比野の全身を震わせ、猛らせた。
「ふっ……堪らないですね……美名……」
頭の中で、彼女の肢体を思い描き、悦に入る。