この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~私を見てsecond―愛は無敵―
第3章 躾られたBEAST
美名は夢の中にいた。
波打ち際で、綾波と手を繋いで歩き、彼を呼んだ。
砂に足を取られそうになりながら、綾波の背中と襟足に揺れる真っ直ぐな髪に見とれる。
『……剛さん?』
波の音に掻き消されて届かないのだろうか。綾波は振り返らない。
美名は、彼に愛の言葉を囁いて欲しくて背中から腕を回し彼を抱き締めた。
『私を、離さないって……もう一度、言って?』
こうしてねだれば必ず、妖しく、優しい瞳を向けて、甘く言葉を返してくれるはず。
彼は、ゆっくりと振り返った。
彼は綾波ではなかった。
そこにいるのはーー
「や……いやああ――っ!」
美名の叫びが、波を切り裂いた。