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あたしに全部見せなさいっ!~大学編~
第9章 エピローグ
「改めて見ても、女装子というよりはナチュラルに女の子よね。さすがゆずちゃん」
「……あんまり嬉しくない」
詩織は素直に褒めているみたいだけど、柚留は複雑な顔だった。
ポスターの構図は、すっぴんの柚留がピンクのワンピースを広げ、にっこりと微笑んでいるだけという、至ってシンプルなものだった。
ポスターの上には『男の娘にだってなれる!』とでかでかと書かれ、下には『いろいろな自分を発見できる! 演劇部へようこそ!』という新入生を歓迎する文字が。
「演劇部に入りたい人で、男の娘になりたい願望がある人ってそんなにいるもんなの? 柚留」
「……僕に聞かれても」
華やかでポスター自体は綺麗だけど、謳い文句には疑問を抱かずにいられなかった。
「まあ、可愛いければいいんじゃないの? ねえ、ゆずちゃん」
「……もう、知らない」
今度はからかいを含んだ様子で詩織が言う。柚留はこの話題がもう嫌みたいで、唇を尖らせてそっぽを向く。
そんな仕草に、あたしと詩織は大爆笑だった。
そしてそのまま一限と二限の講義を受け、昼を食べに食堂に行くと、谷内くんが待っていた。