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あたしに全部見せなさいっ!~大学編~
第5章 激情のお仕置きタイム
そうだ、きっと好きなんだ。柚留はあの年上の女の人のことが。
だからそこまで頑なに、関係を隠そうとするんだ。単なる浮気じゃなかったのかも。
「……大丈夫?」
いつも通りの優しい声音。背中をそっとさすってくれる温かい手。全部大好きなはずなのに、今は余計に苦しくなった。
喉につっかえた嗚咽を吐き出しながら、思う。
こんなおもちゃで愛情をはかっても、意味はなかったんだ。あたし、馬鹿みたいだ……。
「……もう、いい。ーー別れる」
ひどく掠れた声で、それでも柚留を見据えて告げた。激情に駆り立てられてはいたけれど、そうしたいのは本心だった。柚留の気持ちがあたしにないのに付き合ってるのは、悲しすぎる。
柚留の大きな目が、こぼれんばかりに見開かれる。
あたしはすっくと立ち上がり、柚留に入れたおもちゃのリモコンを力いっぱい投げつけた。
柚留の顔は見ずに、踵を返して個室を出た。だって、見なくてもわかる。柚留はきっととても傷ついた顔をしてる。前みたいに。
でも今回は違う。あたしが悪いんじゃない。悪いのは柚留なのにっ。
あたしはそんな柚留から逃げるように、男子トイレを飛び出し全力で走った。柚留から逃げるように。
すがるような思いで、詩織のところを目指した。