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ご主人様=ドSせんせい
第24章 潜入☆榊原星夜ソロコンサート
「間もなく開演致します。お席にお座りください。」
開演のアナウンスが流れて、会場の電気が暗くなった。
舞台の端から、グレーのタキシードを着た先生が姿を見せた。
茶色く長かった髪は、黒くなっていて、少しだけ短くなっていた。
先生が中央で立ち止まり、客席に一礼をする。
さっきまでキャーキャー騒がしかった客席も一斉に静かになり、会場全体が先生を注目していた。
そのまま先生は、なにを話すわけでもなく、ピアノの椅子に座る。
瞳を閉じて、深く呼吸をする先生。
会場全体が先生の姿に既に魅了されている。
先生の指先が鍵盤に置かれると、一曲目の演奏が始まった。
ダイナミックで生き生きとしたそのタッチは、観客をグッと惹き付ける。
あのしなやかで細身な体から、出される音とは思えない迫力ある演奏にどんどん引き込まれていた。
隣に座っている柊斗も、先生の演奏に釘付けになっている。
せんせ…。
今まで近くにいた先生が、すごく遠い存在になっていく。
先日のデートの思い出が何だか、夢のように感じる。