この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ご主人様=ドSせんせい
第24章 潜入☆榊原星夜ソロコンサート
先生のピアノの音色は、相変わらず素敵で、客席は完全に先生の虜になっていた。
中には泣いている人もいて、客席は先生の作り出す世界に飲み込まれていた。
こんなにもすごい先生を目の当たりにして、私は情けない気持ちでいっぱいになってきた。
何曲か終わり、休憩前の曲を最後まで聞けず、私は他のお客さんの迷惑にならないように、会場を出て気持ちを落ち着かせていた。
休憩になるというアナウンスの前だったので、演奏が終わってもお客さんは、誰もでてこなかった。
先生に会えた事は嬉しかったのに、先生を遠く感じて何も出来ない、先生にふさわしくない自分が情けなくて、涙が出てきた。
誰もいない廊下で泣いていると、ふいに後ろから手を引っ張られ、近くのドアの向こうに引きずり込まれた。
「やだっ!誰?」
突然の事にパニックになり、慌てると後ろからギュッと抱き締められて、聞き覚えのある優しい声に名前を呼ばれた。
「愛音、会いたかった…。」
ずっとずっと聞きたかった声。
ずっとずっと会いたかった人。
「せんせー!!」
私は後ろを向いて先生にきつく抱きついた。