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第29章 思惑☆榊原誠と翠川未来

家を出てから星夜が、高校教師をしている事を噂で聞いた。

そのうちに飽きてきっと戻ってくると私は思っていたのに、星夜が生徒と付き合っていると同じ教師をしている翠川から聞いた。

この家の息子が、そして音楽家として知られている息子が、そんなｽｷｬﾝﾀﾞﾙになれば、榊原家の汚点となるに違いない。

そう思って、星夜を無理矢理この家に連れ戻した。

そんな時だった。

翠川が私にまた提案してきたんだ。

｢あんな小娘と付き合っている事がﾊﾞﾚる前に、私と星夜が付き合っている事にして、ﾏｽｺﾐにながしませんか？｣

すごく都合の良い話だった。

ただ、翠川があの昔の件を恨んでいる事は、よくわかっていた。

この提案には何か裏があるに違いない。

申し訳ないが簡単に騙される程、私もﾊﾞｶではないんでね。

翠川が星夜の部屋に入ると私は社員を使って、星夜と翠川の写真を撮るように命じた。

案の定、翠川は写真を撮らせるだけでなく、星夜の子どもを身籠ろうと企んでいた。

慌てて、部屋から出てきた星夜を自宅へ帰し、翠川を部屋に閉じ込めた。

翠川を榊原家の人間にする事は、絶対に許さない。

今回の事で、星夜も自分の身の振りを考えるはずだ。

しばらくは、あの娘ともおおっぴらに会う事はなくなるだろう。