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ご主人様=ドSせんせい
第35章 困惑☆滝澤柊斗の思い
そんなこんなで、個人レッスンの時間になり、榊原先生の部屋へと移動する。
ドアをノックして中へ入ると、先生モードの榊原先生が俺を見てニコニコしていた。
なんだ?この笑顔は?
思えば先生とこうして話すのは、コンサート以来だ。
あの日先生に「愛音を頼む」と言われた事を、俺は思い出していた。
「滝澤君、あれからどうですか?」
「何がですか?」
先生が気にしているのは、俺と愛音の関係。
そんな事は分かっているが、素直に返事をするのもバカらしく感じて、俺は知らぬふりをした。
そんな俺に先生は、動じる事もなくいつものように、サラッと接してくる。
やっぱり大人で、俺だけなんか子どもなような気がしてくる。
実際そうなんだが…。
「滝澤、この前はありがとうな。」
「いえ。先生の為でなく愛音の為にした事ですから。」
「そうか。愛音をよろしくな。」
「そんな余裕な事言ってて、大丈夫なんですか?俺はまだ愛音を諦めてないんですよ。」
先生はフッと笑う。
何だすごい余裕な感じだ。
奪えるものなら、奪ってみろと言った感じだ。
でもそれを、あえて言葉にはせず、俺の言葉をうまくかわしていく。
この地点で俺の負けなんだろうな。
先生と愛音が理屈じゃなく、固く結ばれてる事は俺だって、もうわかってるんだ。
ただもう少し、愛音を思うこの気持ちを大事にしたいんだ。