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TORTURE −対女性拷問者−
第2章 蠱惑の華
チュンチュン…
“もう、朝……?”
小鳥のさえずりに目を覚まし、体を起こす
「…っ……」
まだ少し残る痛みに顔をしかめながら部屋を見渡すと、まるで昨夜のことが夢のように、いつもと変わらない朝だった
いや、違う
時計を見れば、乳母が起こしに来る時間はとっくに過ぎている
「誰か……誰かいない?」
少し声を張り上げると、部屋の向こうに自分の声がこだました
シン…
なんの反応もない
仕方なく立ち上がり、自ら扉へ向かう
ピタッ
その途中で、綺梨は足を止めた
傍の壁を恐る恐る撫でる
そこは昨日、女がいたぶられた場所−−−
「綺梨、起きたのか」
「あっ、父様」
綺梨は慌てて壁から手を離し、にこりと笑ってみせた
「誰も起こしに来ないから」
「いや、昨日体調を崩したというからゆっくり寝かせておこうということになったんだ。
医者を連れてきたから診てもらいなさい」
「はい……」
父親に誘われベッドに戻る
「では、失礼します」
医者は熱を計ったり触ったりして綺梨の様子を診る
“刺客のことは何も言わないのね……でもそれはつまり、誰も死ななかったってこと”