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TORTURE −対女性拷問者−
第2章 蠱惑の華
その結論に辿り着いたとき、綺梨はほっと胸を撫で下ろした
幼い頃から邦の跡取りとして命を狙われてきた彼女は、自分の代わりに人が死んでゆくのを間近で見てきた
“あんな思いはもうたくさん”
誰も死ななかったのならそれでいい
「問題ないですね。今日一日ゆっくり休めば、明日にはもとの元気な姫様に戻られるでしょう」
「そうか」
父が何もなかったように振る舞うなら、自分もそれに倣おう
バタン
医者が退室し、部屋には親子二人きり
“でも−−−”
「それじゃ、今日くらいは大人しくしていなさい」
“気になるの−−−”
「父様」
“忘れられない−−−”
「ん?」
“あの人のこと−−−”
「昨日、男の人がこの部屋にいた気がするのだけど」
綺梨の発言に、長の顔がみるみる険しくなる
「それは……いつ?」
「分からない。一度だけ目を覚ましたの、父様の声が聞こえた気がして。
そしたら、長髪の知らない男の人がいたわ」
覚えているのはそれだけ、と綺梨は嘘をついた
「夢じゃないのか?」
「夢にしてはリアルだった」