この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
TORTURE −対女性拷問者−
第3章 聖処女
「まあ、生きている限り、人は必ず不満や嫉妬を抱えますからね。それが表面化すれば、陰口やいじめになります」
「嫉妬……でも私、人を妬んだりしたことないわ。
それは私が姫だから? 恵まれているから?」
言っていて綺梨は泣きそうになった
運転手はその様子をバックミラーでちらっと見て、
「いいえ、姫様」
と続けた
「姫様も、嫉妬の種はお持ちです。例えば姫様は窮屈な生活をしないで、他の方たちのようにありきたりな生活を送りたいとお望みになるでしょう。その羨望こそが、妬み嫉みのきっかけなのです。
一方で姫様は、先ほどのように自分が恵まれていることを自覚していらっしゃる。相手にとってはそれが羨望であること、自分にも相手にも、誰にも敵わない良さが、幸せがあることを分かっていらっしゃるのですよ。
だから姫様はお優しいのです」
「優しい……」
"そんな風に思ったこと一度もないけれど"
だが綺梨には何となくでも運転手の言うことが分かるような気がした
「いじめをするような人間は、それに気がついていない可哀想な人たちなんです」
……かわいそう?
その憐れみもまた少し違うような気もするけれど。
翌日
屋上から飛び降りたと思われる少女の遺体が発見された
「テニス部の新入生で、ホープだったらしいよ」
「テニス部って、あの神茂さんがいる……」
「結構ひどいいじめ受けてたって……」
"可哀想"
そう、そんな憐れみは違う
そんなことで済ませたら、彼女は−−−いや、恐らく今までの犠牲者たちも、何の為に生きたのか
憐れな少女たちの慰み者か
"そんなこと許さないわ!"
綺梨の瞳は、怒りに燃えていた−−−
「神茂さん、ちょっとお話があるんだけど。
いいかしら?」
放課後、校門で待ち構えていた綺梨は亜美の腕を捉えて言った
「はぁ? あんた誰……
あっ、あ〜、あなた綺梨様ね! 亜美に何のご用ですか?」
セレブを認識した瞬間に態度を変える亜美に綺梨は内心ため息をつく
「こんなところで立ち話もなんだし、良かったら車に移動しない? 家まで送らせるわ」