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TORTURE −対女性拷問者−
第5章 許されざる拷問具
そして、目の前の男に息を呑む
彼は、何故だか初めてこの場所で会ったあの日よりもっと、ずっと美しく見えた
先ほどまで夕陽に赤く染まっていたその顔は、月明かりのもとではより一層妖艶で−−−
「レイ…ヤ……」
男は綺梨を見る
「麗夜。貴方の名前よ」
トーチャー−−−麗夜は一瞬驚き、いつものように笑い出した
「クッ…ハハッ、随分単純だな」
「結構いいと思いますけど」
綺梨が睨み付けても、彼の笑いはなかなか収まらない
それには訳があった
「そんなことより……ククッ…今日はパーティーじゃなかったのか」
「あっ!」
マズい、使用人たちが自分を捜し回っているに違いない
「迎えが来てるぞ」
その言葉に綺梨が慌てて振り向くと、そこには−−−
「クゥン」
主人をじっと待つケンの姿があった
「もうっ、驚かせないでよ!」
文句を言う綺梨に、彼はいよいよ本格的に声を立てて笑い出した
初めて見る、心からの笑い−−−
“やっぱり、彼はここにいるわ”
この夜、トーチャーは麗夜となって、綺梨の前に確かに“存在”していた−−−