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戦国×ミュージック
第3章 毛利ハーモニー
『毛利元就の手紙』
毛利元就の手紙は非常に長い事で有名であり、物によっては三メートルを超える事もあった。そして『酒のせいでうちの家族は亡くなっていて……』というくだりを、一度の手紙で三回も書いていたりもした。
「元春と隆景がいじめるから、隆元が泣いちゃったでしょ! 隆元に謝りなさい!」
「ちっ、仕方ねーな。兄上、これで涙拭けよ」
「ちょっと元春、それワシの書いた手紙! なにちり紙にしちゃってるの!」
「だって、無駄に紙を使ってもったいないだろ」
「大体、手紙は読んだら燃やして証拠隠滅しろって教えたでしょ! どこにスパイがいるか分かんないんだよ!」
「いや、だって読んでねーし」
「読めーっ!」
「大丈夫です、父上! 私が知恵を絞って、元春兄上に手紙を読ませる策を考えました!」
「ほう、それはどうやって?」
「まず、私が父上の手紙を添削し、無駄に長い文をばっさりカットします。どうせ毎回同じ事ばかりでほとんど全部削れるでしょうから、極限まで短くしてから兄上に読んでいただくのです」
「笑顔で傷付ける事言うんじゃない! どこの世界に息子に手紙添削されて喜ぶ父親がいると思ってんの、もう!!」
毛利家は残された手紙がアットホームな感じで、手紙に関する逸話を読むと非常に心がほっこりとする。
なお、今回の作中で元就はぞんざいな扱いですが、実際は手紙の中で「ちいさま」と記されていたりして、慕われている様子がうかがえます。