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戦国×ミュージック
第1章 心を合わせて~信長交響曲~
『信長交響楽団殺人事件』
森可成の次男・長可(ながよし)は、信長の一大軍事パレード『京での馬揃え』にて、かつて家中で悪さを働き出奔した者を見つけてしまう。彼は大事な馬揃えの現場にも関わらず、その者を斬り殺し、遺体をそのまま放置したと言われている。
「どうした光秀、血相を変えて。それに長可も一緒とは、珍しい組み合わせだな」
「信長様、大変です! この長可、コンサートホールで殺人を犯した挙げ句、片付けもせず放置したんです!」
「信長様、だってあの野郎はウチで悪さして逃げやがった罪人だったんスよ? そりゃブッ殺すでしょ」
「なんだ、罪人なのか。じゃあしょうがないな」
「しょうがなくないですよ信長様! 今回のコンサートは、帝も聞きに来るんですよ! ネタ小説に有り得ないリアル殺人で、そこを血で汚したなんて……クビじゃ済まないです!」
「罪人なんか雇ってる奴が悪りぃんだよ、なあ信長様」
「うむ、その通りだ」
「いやいや、勝手に私刑は駄目ですよ! 厳しい処罰を与えないと、ますます殺人鬼になっちゃいますよ!」
「……うるさい、光秀!! 罪人なんだからしょうがないって言ってるでしょ!! 長可ちゃんはお咎めなし! 文句があるなら、お前が死体を片付けてこい!」
「だから贔屓し放題ですってば信長様ー!」
当然、こんな事を他の家臣がやらかしたら鬼のように怒られるのだが、なぜ長可が許されるのかはよく分からない。信長様の贔屓体質は筋金入りなのかもしれない。
ちなみにこの逸話、光秀は全く関わっていないし、もちろん遺体のお片付けをしている訳でもない。狂言回しとして特別出演してもらいました。