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触手回廊
第3章 村長①
(なんだ…?)

何かを感じた。
ザラザラした生暖かく湿ったものが、頬の上を動き回っている。

ハァ、ハァ…

荒い息遣いが聞こえ、臭く気持ち悪い息が顔に吹き掛けられる。
そして何より、下半身に感じる、圧迫感…

(……ッ!?)

広大な海の底から、沈殿していた意識が高速で浮上してくる。

「…うわっ!」

目を開き、上体を起こしながら、胸のうえにいる何かを突き飛ばした。

「キャン!」

突き飛ばされたのは、大型の狼のようだった。
フレアは逃げ出す狼に本気の炎弾を打ち込み、沈黙させる。

「うぅ……、気持ち悪っ…」

フレアの膣からは、白いねばねばと赤い液体が溢れていた。

(奪われた…狼なんかに…)

涙目になりながら、可能な限り指で掻き出した。
狼の方を睨み付けると、力なく倒れた狼が、床からはえた触手に包まれ、床に取り込まれていく。

(なんだ?ここはどこだ?)

明らかに異様な光景を見て、少し冷静になった。
壁や天井、床を構成している蔦。
狼を取り込んだ触手。
少なくとも後者は、フレアの事をチューリップの中に落とした物だ。
そして、前者は触手に似通った色と形をしている。
つまり、ここはチューリップの中ではないか、と。
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