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触手回廊
第5章 村長②
見てはいけなかった。
あれは見ていい物ではなかった。
見てしまった。

「村長!」

ようやく見つけた。
ホムンクルスを引きつれた村長は、待ち構えていたようにこちらを見ていた。

「無事でしたか、アクア」

「どの口がそんな事を言うの」

発した言葉は、自分でもびっくりするくらい怒気をはらんでいた。

「どうしました?」

「さっきフレアに話してた事、私にも聞かせて」

村長は表情を曇らせ、頭を掻く。

「聞かれてましたか……彼女はもう再起不能だから話したんですが、まぁ、いいでしょう」

村長は少し考えて、口を開いた。

「私が召喚術と出会ったのは、八年前でした。最初は私の魔力で呼び出せる範囲で満足していたのですが、次第にそれ以上を召喚したくなりましてね。
貴女のお兄さんを殺して、魔力を頂きました」

アクアは右手に魔力を集め、メイスを作り出す。

「このチューリップも、召喚するための魔力を集めるために喚んだんですよ」

最後の言葉は、聞こえない。
兄の仇。
そう解った瞬間に、アクアは地を蹴った。
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