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【SS企画】みんななかよし
第12章 【SS企画】副賞 聖なる夜に口づけを。
Hina side
12月24日――。
あたしと朱羽は帝王ホテルの最上階、世界の王族クラスの貴賓も宿泊するという、スイートルームに居る。
セミスイートは、この前朱羽と泊まって結ばれた場所。
スイートは……、朱羽と迎える初めてのクリスマスの夜に過ごす場所。
なんだかくすぐったい気分になるね。
朱羽の首には、クリスマスプレゼントであたしがあげたマフラー。カードケースもすぐに使ってくれた。
朱羽からはあたしがおねだりしたキーケースと、お揃いの長財布があった。メッシュで有名なこのブランドは凄くお高いのを知っているから余計に、恐縮しながら変えることにした。
黒革のメッシュの財布とキーケース。
凄く嬉しかった。
それだけじゃない。あたしの左指には――。
「つけたの、それ」
「うん」
朱羽から貰ったタンザナイトの指輪。
シンプルなデザインが素敵だ。
スイートルームはかなりの広さを持つ。
リビングスペースと応接スペース、反対側には寝室やキッチンスペースも見える。
壁で区切られていないから、全部合わせただけでも三十畳はゆうに越しているだろう。庶民には、どれくらいの広さか見当がつかない。
セミスイートのように遊ぶ部屋はないものの、作りが高級で、まるで外国の王城を見ているかのように豪華な内装と調度が並んでいて、無性に部屋の隅に蹲っていたくなるのは、なぜなのだろう。
キッチンとリビングの間にあるカウンターのような家具の上に、なにか違和感あるものが、横にずらりと乗っている。
『ナツより』と札がある、チョコフォンデュやらホームケーキやら手作りと思われるお菓子が一杯。美味しそう!
『俺様より』と札がある、鞭や縄や蝋燭。……いらないね。
『ダチより』と札がある、包みに入ったこれは……うん。えっちな玩具だね。
『木島より』と札があるのは、これは避妊具の箱みっつ。おいおい! あまりたくさんあると、朱羽が使い切ろうとしちゃう!
『サクより』と札があるのは、玄武織とか言われる安産にも効果がある帯らしい。安産も帯も、残念ながら使うのはまだまだ先だ。
『いたこうより』と札があるのは、黒く積み上げられた……ネズミ。しかもその数より、圧倒的に尻尾が多い。食べた尻尾までおいたのか。