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【SS企画】みんななかよし
第5章 【SS企画】①ハルとモモが初恋の話をする
……最悪な女だと思っていた頃が懐かしい。
気づけば、あのひとの天真爛漫な明るさと時折見せる女の顔に魅せられて、ハルさんの女だと、ナツの女だと、そう思いながらも惹かれていった。
あなたが目覚めた時、俺だって嬉しかった。だけどその時は兄弟がどれだけ落ち込んでいたか知っていたから、俺は裏役に徹する気でいたんだ。
それなのに、俺、あなたに絡んでしまった。
この線を踏み越えてはいけない……そう思えど、やはり俺を忘れていたり、俺を男として扱わないあなたの言動に傷ついて、そして憤り……、頑張っているナツを忘れて、俺を見てと……俺はあなたを抱ける男なんだと、口走ってしまったあの時。
初恋は実らない――。
そう思えども、それでもこっそり物陰から見ていたあなたに、何度も恋して初恋を過ぎてしまった俺には、あなたの心に残して貰うことが精一杯。
もしあの兄弟があなたを助けられる立場に居なくて、もしも俺だけがあなたを助けられる立場にいたら――。
なにかが変わっていたのだろうか。
あなたにとって圏外の俺を、あなたの瞳の中に入れて貰えただろうか。
いや……、きっとあなたにとって俺はいつまでもあなたの餌で、あなたの心はきっと俺は抱くことが出来ない……そう思えるから。
そう思うから、俺は動けない。
願わくば、俺の好きな兄弟の元であなたが笑っていられますように。
願わくば、その純なる瞳に少しでも俺を映し、あなただけに許した俺の名前を呼んで笑ってくれたらと思う。
……心の中では、いつでもあなたを想っている。
現実世界でなければ、いつでも俺はあなたの相手役としてあなたを堂々と愛することができる。
寝ても覚めても、いつでも俺は……あなたが好きだから――。
(-ノ□д□-) Momo