この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS企画】みんななかよし
第5章 【SS企画】①ハルとモモが初恋の話をする
「吊り橋効果というものがあるが、お前は嵐のようにお前を襲ったそのインパクトに対するドキドキを、恋のドキドキと間違えたのか」
「……っ」
「納豆味の初恋は、幻か?」
ハルさんは気づいているのだろうか?
あのどろどろネバネバとした納豆まみれのキスをしてきたのが、ハルさんが初恋をこじらせているあのひとだったということに。
まっすぐな目。
俺はこのひとに嘘はつきたくなくて。
「……本物でした」
「腐った豆を口に入れるような奴に、本気で惚れたのか」
「はい///」
「その状況を説明せよ」
この目から、逃れられない――。
「……っ、ありきたりかもしれませんが、ドキドキして……気持ち悪いキスが気持ちよくなって。全身がこう、脈打つ感じで、そのひとのキスする顔に釘付けになりました。胸の奥がきゅっと疼いて」
初めて触れた女。
俺にとって未知なるそれは、強烈に俺の心身に爪痕を残して。
「普通の女は、小学生に納豆まみれのディープはしないぞ。納豆はもう食べれなくなってしまったか。もしあれなら、俺の同期の精神科医、ニャン吉を紹介するぞ」
「いえ、結構です。その……中々美味しいなと思い、それから食べれるようになりました」
「……。つまり美味しかったのか、そいつとのディープ納豆」
「……はい///」
「唇も心も食われたのか、そいつに」
「……はい///」
「ディープ納豆で、初イキか?」
「……っ、そ、それは……」
「小学生のガキでも、桃缶シロップを出したのか?」
「出せる年じゃないですから!」
このひとは、真顔でなにを言うんだ。
「サクラの初恋は……」
「納豆の味でした」