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花籠屋敷
第4章 分水嶺
桔梗は、医務室の寝台から目覚めると、左手首を掲げて眺めた。
昨晩の札渡しは、夢では無い…
桔梗の左手首に紫の札が吊るされている…
使う事は無いだろうと、まじまじ見た事が無かったが、綺麗な木札だった…
深紫の背景に白抜きで横見桔梗が上部に描かれ、8の字に蔓が二本描かれている。そして、丁度8の字の二つの丸に緑のガラス玉が嵌め込まれ、透明な緑光を反射させていた。
桔梗の気持ちを反映するように、窓の外は曇天…
だが、このまま何もしないのも気分が晴れない。桔梗は談話室に向かう事にした。屋敷の廊下を一人歩く…
屋敷の中を一人歩きは初めてだった。
大体、野菊と二人だったため心細い。女中とすれ違うのは別に何とも思わないが、客とすれ違うのは、心地よく無い。
特に天気の悪い今日の様な日は、皆手持ち無沙汰なうえ、気分も陰湿なものを帯びたりする。
女が多人数だと声も掛けづらいが、今の自分のように一人で歩く女中は格好の的だ
この時ばかりは、左手首の札に感謝した。
縞園藤丸の話も2日目となるとあまり聞かなくなった。
女中達も一日追いかけ回して満足したのだろうか?
桔梗は漸く大広間に辿り着いた。
寝台の女神像の下、赤い大扉が談話室の扉だ…桔梗はゆっくり談話室の扉を開いた。
野菊か石楠花、椿…
知っている女中がいると良いが…
中は野菊と来た時と似た様な感じだ。
皆思い思いに過ごしている…
見知った顔は中に無かった。
桔梗はとりあえず誰か来ないか待つ事にし、前に野菊と座った隅のソファーに腰掛けた。
「今日何か面白い話ある人〜」
隣の席では女中が雑談していた。
見た目が結構派手な女中達だ…女中達は、真面目にメイドの仕事をこなす者もいれば、もっぱら夜伽専門の者もいた。
雑談しているのは、恐らく後者のタイプだろう。
昨晩の札渡しは、夢では無い…
桔梗の左手首に紫の札が吊るされている…
使う事は無いだろうと、まじまじ見た事が無かったが、綺麗な木札だった…
深紫の背景に白抜きで横見桔梗が上部に描かれ、8の字に蔓が二本描かれている。そして、丁度8の字の二つの丸に緑のガラス玉が嵌め込まれ、透明な緑光を反射させていた。
桔梗の気持ちを反映するように、窓の外は曇天…
だが、このまま何もしないのも気分が晴れない。桔梗は談話室に向かう事にした。屋敷の廊下を一人歩く…
屋敷の中を一人歩きは初めてだった。
大体、野菊と二人だったため心細い。女中とすれ違うのは別に何とも思わないが、客とすれ違うのは、心地よく無い。
特に天気の悪い今日の様な日は、皆手持ち無沙汰なうえ、気分も陰湿なものを帯びたりする。
女が多人数だと声も掛けづらいが、今の自分のように一人で歩く女中は格好の的だ
この時ばかりは、左手首の札に感謝した。
縞園藤丸の話も2日目となるとあまり聞かなくなった。
女中達も一日追いかけ回して満足したのだろうか?
桔梗は漸く大広間に辿り着いた。
寝台の女神像の下、赤い大扉が談話室の扉だ…桔梗はゆっくり談話室の扉を開いた。
野菊か石楠花、椿…
知っている女中がいると良いが…
中は野菊と来た時と似た様な感じだ。
皆思い思いに過ごしている…
見知った顔は中に無かった。
桔梗はとりあえず誰か来ないか待つ事にし、前に野菊と座った隅のソファーに腰掛けた。
「今日何か面白い話ある人〜」
隣の席では女中が雑談していた。
見た目が結構派手な女中達だ…女中達は、真面目にメイドの仕事をこなす者もいれば、もっぱら夜伽専門の者もいた。
雑談しているのは、恐らく後者のタイプだろう。