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花籠屋敷
第4章 分水嶺
「あっ、私あるわよ。滅茶苦茶面白い奴」
特にネタが無かったのか一瞬沈黙した女中達だったが、不意に気怠げな黒髪の女中が話し始めた。
「昨日、縞園がいたじゃない。折角だしダメ元で身売りの宣伝行って、無理ならサインか何か貰おうと思って、友達と探してたのね。そしたら医務室から出て来てさぁ。声掛けようとしたら、手首に紫の札吊ってたんだよねぇ」
「嘘!買われた女いるの?」
「本当、本当。私二度見してもバッチリあったもん。で、医務室怪しいから、ちょっと探ってやろうと思って入ろうとしたんだけどさ。鍵がかかってて見れなかったんだよね」
「どんなヤツだろうね買われたヤツ…でも縞園に買われると色々大変そうじゃない?周りの嫉妬とか…大分前に役者か何か来て、そいつに買われた女。嫉妬した女中が客巻き込んで、そいつ無茶苦茶にしたらしいじゃん」
「あった!あった!エグい客に本人知らない間に売り込みまくってたヤツね。狸の相手もさせられたんでしょ。」
「そう言えば、昨日藤丸が庭球中に事故あったって…ボールが観客に当たって脳震盪起こしたヤツ。あれ、倒れたの紫の女中って聞いたよ」
「十中八九ソイツじゃない?」
隣の女中の話は次第に熱を帯びていく…
話の内容に動揺と不安を隠せず、札を思わず袖の中に隠した。
兎に角、藤丸に買われた事を隠さなくては…自分の身に何が起きるか分からない…そう、思うと周り全てが怖くなった。
桔梗は静かに談話室を抜け出る。
誰か知ってる人に……
桔梗は調理場へ向かうことに決めた。
そろそろ昼餉時…椿や野菊達が仕事をそこでしているかもしれない。
札を手の中に隠しながら桔梗は調理場に入るも、中は知らないひとばかりだ
特にネタが無かったのか一瞬沈黙した女中達だったが、不意に気怠げな黒髪の女中が話し始めた。
「昨日、縞園がいたじゃない。折角だしダメ元で身売りの宣伝行って、無理ならサインか何か貰おうと思って、友達と探してたのね。そしたら医務室から出て来てさぁ。声掛けようとしたら、手首に紫の札吊ってたんだよねぇ」
「嘘!買われた女いるの?」
「本当、本当。私二度見してもバッチリあったもん。で、医務室怪しいから、ちょっと探ってやろうと思って入ろうとしたんだけどさ。鍵がかかってて見れなかったんだよね」
「どんなヤツだろうね買われたヤツ…でも縞園に買われると色々大変そうじゃない?周りの嫉妬とか…大分前に役者か何か来て、そいつに買われた女。嫉妬した女中が客巻き込んで、そいつ無茶苦茶にしたらしいじゃん」
「あった!あった!エグい客に本人知らない間に売り込みまくってたヤツね。狸の相手もさせられたんでしょ。」
「そう言えば、昨日藤丸が庭球中に事故あったって…ボールが観客に当たって脳震盪起こしたヤツ。あれ、倒れたの紫の女中って聞いたよ」
「十中八九ソイツじゃない?」
隣の女中の話は次第に熱を帯びていく…
話の内容に動揺と不安を隠せず、札を思わず袖の中に隠した。
兎に角、藤丸に買われた事を隠さなくては…自分の身に何が起きるか分からない…そう、思うと周り全てが怖くなった。
桔梗は静かに談話室を抜け出る。
誰か知ってる人に……
桔梗は調理場へ向かうことに決めた。
そろそろ昼餉時…椿や野菊達が仕事をそこでしているかもしれない。
札を手の中に隠しながら桔梗は調理場に入るも、中は知らないひとばかりだ