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Cross roads
第1章 Cross road 1
「金がある時は買って、ない時は万引きして。そうやって凌いでました。千円で弁当買ったその釣りを置いとけば、次にない時も困らないってのもわかってたんですけど。捕まって、親に連絡が行けば、少なくとも弁当代を忘れることはないかな、ぐらいに考えて。自分から両親に言うことはしませんでした。今思えば、自棄になることで、シグナル出してたつもりだったんでしょうね。親子だって、言わなきゃ伝わらないこともあるのに、親なんだから気付けよって、思ってたのかもしれない。スーパーのバックヤードで、店長に叱られて解放してもらっても、止めませんでした。親に一言、弁当代をくれって、言えば済む話だったのに。しかも店変えたり、お菓子とか冷食とか、違うものを盗ったりせず、頑なに弁当と総菜に拘ったのも、どっかで早く気付いてほしい気持ちがあったんでしょうね。3回目に捕まった時、初めて警察に連れて行かれました。てっきり親が店に呼び出されると思ったから、警察って言われてさすがにビビりました。父親の携帯番号を書いたものも持ち歩いてないし、家に帰らないとわからなくて、勤務先の社名だけはなんとなく聞いたことがあって、警察から親の会社に電話されて、血相変えた父親がやってきました。」