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Cross roads
第1章 Cross road 1
終始自嘲的に語り終えた萩原くんに、なんと言葉をかけたものか、俺にはわからなかった。話の途中で運ばれてきたビールの泡も半分以上消えてる。

「すみません、なんか変な話して。ビール、気抜けちゃいますね、呑みましょうよ!」

萩原くんがジョッキを手に取る。

「なんて言ったらいいかわからないけど…萩原くんの話聞いちゃうとさ、俺なんて甘やかされて育ってきたんだろうなぁ、としか思えないわ。自覚なかったけど。」

「それが普通なんだと思います。お…僕の環境がちょっと特殊って言うか。片親なんて珍しい話でもないはずなんだけど。」

「そうだよね、だけど、小学生の時点でそこまで達観できるってのが凄いと思う。偏見かもしれないけど、中学とか高校でグレてヤンチャしてるヤツも、結構家庭環境が複雑だったりするっていうじゃない。だから両親の愛情云々とか言われちゃうわけだし。萩原くんも、その原理で行けばそのままヤンチャコースに乗っちゃってもおかしくなかったわけでしょう?けど、中高剣道部って聞いたし、硬派なイメージなんだよ。もちろん10代でヤンチャしてたって、大人になれば真面目に社会人してるヤツもいっぱい居るから、正直若気の至りなんて大人になれば関係ないんじゃないかとも思う。でも、その軌道修正が小学生の時点でできちゃうってのはやっぱりすごい事だと思うよ。」
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