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Cross roads
第6章 Cross road 6
「俺には、聞く権利がある。それに、俺ももう大人だし。何聞いても驚かないよ。」
母さんがふぅ、と溜息をつく。
「きっと、私が、弱かったの…貴方がお腹にいるとわかった時、お父さんは22歳で大学を卒業する直前で、春からの入社は決まってたけど、新卒。私は大学の2回生で20歳、成人式の後だった。学生のまま、休学して出産する人もいるそうだけど、当時の私にはそんなこと考えられなくて、大学も中退して、親には縁を切ると言われた。お互いの実家も頼れなくて、相談できる人もいないまま、貯金もなくて、お父さんは必死に働いて私たちを養ってくれた。でも、会社に居る時間が長すぎて、私は貴方と2人きりだった。貴方が夜中に高熱を出して、慌てて会社に電話を掛けても『今すぐには帰れないから救急車を呼びなさい』って一言だけ。不安で震えながら救急車を呼んだりタクシーで救急診療に駆け込むのなんて日常茶飯事。お父さんはお父さんで、私たちを養うことに精一杯だったって、今ならわかるけど、当時の私は全てが自分にかかっているような気がして。重圧で、押しつぶされそうだった。お父さんとも生活のリズムが合わなくて、すれ違いが続いて…」
母さんがふぅ、と溜息をつく。
「きっと、私が、弱かったの…貴方がお腹にいるとわかった時、お父さんは22歳で大学を卒業する直前で、春からの入社は決まってたけど、新卒。私は大学の2回生で20歳、成人式の後だった。学生のまま、休学して出産する人もいるそうだけど、当時の私にはそんなこと考えられなくて、大学も中退して、親には縁を切ると言われた。お互いの実家も頼れなくて、相談できる人もいないまま、貯金もなくて、お父さんは必死に働いて私たちを養ってくれた。でも、会社に居る時間が長すぎて、私は貴方と2人きりだった。貴方が夜中に高熱を出して、慌てて会社に電話を掛けても『今すぐには帰れないから救急車を呼びなさい』って一言だけ。不安で震えながら救急車を呼んだりタクシーで救急診療に駆け込むのなんて日常茶飯事。お父さんはお父さんで、私たちを養うことに精一杯だったって、今ならわかるけど、当時の私は全てが自分にかかっているような気がして。重圧で、押しつぶされそうだった。お父さんとも生活のリズムが合わなくて、すれ違いが続いて…」