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【SS】吼える月
第1章 【5000拍手記念】運命~サクの両親~
「なぁ、サラ……。いつか、こいつを命をかけて守らねぇといけない時がくるような気がするんだ」
ハンは、厳しい父親の顔で言った。
「予感、というのかな。こいつは並の人生を送らねぇ気がする。だからそのために、こいつを鍛えること、許してくれよ」
「ふふふ、どうぞどうぞ。あなたの息子が弱いはずがない。次期武神将だものね。奇遇だけど、私も……サクのために命をかけるような気がするのよ」
「お前もか」
「ええ。だからこそ、私もあなたとは違う面から、守って守って守り抜いて、サクが望む世界で幸せになって貰うわ」
「ああ。俺も……サクが笑顔でいて貰いたい」
愛おしい、愛の結晶を生かせるために、たとえこの先死すことになろうとも、息子を守ろうと誓うこのふたりには迷いはなかった。
「俺達のように、サクの伴侶と、運命的な出会いをさせてやりてぇな」
「ええ、すべてを捨てられる……そんな相手に、巡り会って欲しいわ」
夫婦の唇が合わさる様を、幼い子供は嬉しそうに見ていた。
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「うふふ、ハンそっくり。まるで小さいハンね。よろしくね、サク。あたしユウナよ。仲良くしてね」
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倭陵暦498年。
予言にある、凶々しい赤き月夜――。
「姫様ああああああああ!!」
ここから、ハンとサラの、第二の物語が始まる――。
運命 【完】