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桃色フラストレーション
第22章 台風一過
その時、私のお腹が鳴った。
「あ……ごめん」
「や、そういや腹減ったよな……今何時だ?」
時計を見るともう夜の8時だった。東京の人混みに気後れするという高崎くんの意向で、夕飯は外へ出ずルームサービスを頼んだ。ガウンのままでワインを乾杯し、一息ついた。
「俺……、またバンドやろうかなぁ」
「いいじゃん!高校の時の、かっこよかったよ」
「病院通いでそういう時間とれなくて趣味もない暮らししてたけどさ……、なんかやんないとな。あ、いや、セックスの代わりとかそういうんじゃなくって!」
「ふふ、いいと思うよ!時間ができた、ってことだよね」
前向きに語り始めた彼を微笑ましく思った。
「……こんな風に考えられるようになったの、桃井のおかげだよ。会いに来てよかった。……ありがとう」
「そんな、私何も……」
「何言ってんだよ、いっぱいシてくれただろ。ちんこしゃぶったり乳首舐めたり」
「えっ、ちょっ……そういう!?」
「ん~~どうかな?それも嘘じゃない。サイコーだったし。けど真面目な話……、あのままあの田舎町でお葬式ムードに包まれたままだったらちょっと……、もっとまいってただろうなと思うしさ。桃井と会って、顔見て話して……、それだけでかなり落ち着けた」
冗談めかしたところから神妙な顔になってこういうことを言うの、ずるい。高崎くんのこういうところにドキッとさせられる。
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