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桃色フラストレーション
第11章 予想通りの事と、予想外の事
「おじゃまします……」
「はーい女子が増えましたよ~!私の同僚の桃井千代ちゃん。いい子なんでみんなよろしくね~!」
「ども、はじめまして!遥香の彼氏の亮太ッス。いつも世話んなってます!」
「はじめまして……すみません急にお邪魔しちゃって」
「いやいや!女子が多いとテンション上がるし!えーと、こいつは後輩の純、それからこっちも後輩のアキヒロ!2人とも新卒の23歳デース」
「こんちは……」
「どもッス……」
テンションの高い亮太くんと、対照的に静かな純くん、亮太くんと同タイプのアキヒロくん……。本当に普段なら苦手なタイプの集団、そして苦手なタイプのハイテンション飲み会……。なのに、終始和やかに賑やかに、気を遣わず楽しめる時間になっていったことに、自分でも驚いていた。お酒だけのせいじゃない、こんな時だからなのか、この人達の人柄が……、なんだかあったかい。期待通り、何も考えずに笑っていられる。

「千代さんって彼氏いるんすか?」
「えっ……あ、……」
アキヒロくんのその質問に、一気に現実に引き戻された気がした。遥香がフォローしてくれる。
「あー、アキヒロちょっとそれ今日はNGワードって感じかな~」
「えっなんでッスか!だっていい女だからフツーに聞きたくなるっしょ」
「だよね~~。どう?千代のことだいじにしてあげない?アキヒロ」
「ちょっと遥香……」
「えっ俺っすか!?いや俺は今……カノジョいるんで……」
一瞬、全員の動きが止まった。
「おいおい何だよそれまだ聞いてねーぞ~~?ヒュー!」
「あー、えっと……付き合い始めたばっかりで……話そうとは思ってたんスけど……今日もそろそろ……カノジョんちに……行っていいスか?」
照れくさそうに話すアキヒロくんから、新鮮な恋の空気が伝わってきて、思わず口に出る。
「いいね~あてられちゃうなぁ……やっぱり付き合い始めが一番いいよね……本当に好きな子はだいじにしなきゃダメだよ……浮気なんてしちゃ……ダメ……」
無自覚だった。涙がぽろぽろ流れていた。アヤノさんからの電話がフラッシュバックして、頭がガンガンし、胸の奥が苦しくなる。
「千代……」
「……ごめん、私ちょっと横になっていいかな……」
「うん、いいよ。千代、大丈夫……大丈夫だからね。いつでもここに来て」
「遥香……、ありがとう。ごめん……」
私は隣の部屋で、横にならせてもらった。
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