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桃色フラストレーション
第15章 回顧
トイレから帰ってきた高崎くんが間に入る。
「何?結婚の話?」
「あ、うん、トミオくんもう奥さんもお子さんもいるんだってね?びっくり!」
「ああ~そうなんだよ。こいつモテて女癖悪かったくせにちゃっかり本命も掴んでてさ~奥さんすっげぇ可愛くていい子なんだ。トミオにベタ惚れだし。マジ羨ましい」
「なんだよ透、お前だってモテてただろ?そこそこ遊んでただろー?」
「いやお前ほどじゃねーよ。それに就職してからこんな田舎の会社じゃ出会いねーし」
「あ……、でもそれは……東京の会社に勤めてる私も同じ……」
「へぇっそうなんだ?じゃあ桃井はずっと一人?違うだろ、だってめっちゃ綺麗になったし色っぽいもんな?」
「い、いや……ひとり……だったんだけど……」

なんとなく話しやすい2人の空気に甘えて、お酒も飲んでいないのに、サラッと簡単に最近のことを話した。シニアだらけの職場で出会いはないけど、会社の近くで働いている光と付き合い始めたら海外転勤になって浮気の疑いが浮上したこと、その間に出会った純くんとのこと……そして母が倒れ、今こうして栃木に帰ってきていること。

「……そっか。いろいろあったんだな」
「ていうか、その年下の奴うらやましくね?身体だけの関係とかさ……俺そんなお姉さんと出会いたかったなぁ……」
わくわくした様子でそう言う高崎くん。
「あれ、透はそういうのいなかった?俺はいたけど」
「マジかよっ!トミオ一体今まで何人……、」
「まぁまぁ、俺の話は置いといて。で、こっちにはいつ頃までいるんだ?」
「母がこのまま順調に回復したら、来週には退院できそうで。その頃の予定」
「なーんだ……って、残念がっちゃだめかぁ……。順調だといいな、回復。俺の親父はさ……実はもうマトモに意識ないままなんだよね」
そう話す高崎くんの表情が曇る。
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