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桃色フラストレーション
第17章 しばらく一人で
少し残業した後、遥香と私はいつものカフェ「パラダイス」にやってきた。
「そうそう、こないだ純くんが遊びに来てね、」
遥香の口から出て来たその名前にドキッとしつつも、平静を装う。
「え、ああ、元気だった?」
「それがね、なんか元気ないから飲ませてたら女関係でいろいろ悩んでるって打ち明け始めてさ~」
ぎくっ。い、いやまさか……私とのことは話してないよね……?
「すごい好きになった年上のひとがいて、すごいエッチが良くて、すっかり虜になっちゃったんだけど相手には好きになってもらえなくてセフレみたいだったから別れたんだって」
ぎくぎくっ……。それはまさに、この私のこと……。
「でね、職場でずっと付き合って下さいって言われてた子と付き合い始めたらね、エッチが合わなくてもうた~いへんだったんだって!」
「へ、へぇ……」
合わないって一体……、どういう……?
「なんかたぶんその子があんまりエッチ好きじゃなかった感じみたいでー、変態!って言われて拒まれるようになっちゃったんだってさ。一体そんなの何したの?って感じなんだけど、とにかくそれでふられちゃったって落ち込んでた~」
なんだ……、てっきりその子とうまくいってると思ってたのに……、そんなことに。私がいろいろ覚醒させ過ぎてしまったせいだ……。

「そうなんだ……。でもそういうの、だいじよね」
「エッチの相性でしょ~?ほんとだいじ!ねぇ千代はあれからなんもないの?」
あれから……というのは、遥香の家に行ったあの日……、そう、悪夢のようなアヤノさんからの電話があった日……。
「なくはないんだけどね……いろいろうまくいかないなぁ」
「えー、何なに?聞きたい~~」
「話せるようなことは何もないよ。しばらく一人でいた方がいいんだ私きっと」
「何言ってんの、もったいないよそんなの。ていうか澤田さん?だっけ?いつ日本に戻ってくるの?もうすぐじゃなかった?」
そう言われれば、そうかもしれない。でも光を待つ意味はもうないと思っていたから、あまり気にしていなかった。
「あ……うん、そういえば……そうだね、来月かな」
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