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×アリエナイカノジョ×
第8章 ◆ Opening
「行ってきまぁすっ」
柔らかな陽差しが降り注ぐ朝。
静かな住宅街の一軒から、明るいアニメ声が発せられる。
それと同時にけたたましい音を立てて閉まる扉。
次いで、開け放たれた門扉から小柄な女が飛び出した。
「急げ急げぇっ」
栗色の髪を左側頭部で縛り、活発な雰囲気を醸し出しながら短い制服のスカートを翻して走り出す。
しかし、急いでるような言葉を吐き出しながらも、その速さは当人が思っている程ではなかった。
そればかりか、陽差しの柔らかさに惑わされ、周りの緑を楽しみながら走れば速度など出るわけも無かった。
「…朝っぱらから元気ねぇ…」
彼女が曲がり角へと差し掛かった時、タイミング良く出て来た肌が小麦色の女子。
開口一番、呆れたような言葉を吐き出して、ジト目を向ける。
「おはよぉっ、美穂ちゃんっ」
美穂の呆れた態度にも臆することはなく、足を止めて明るい笑顔を振り撒くのだった。