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×アリエナイカノジョ×
第8章 ◆ Opening
殆ど一日中一緒に行動をしている二人。
授業から解放された放課後で賑わう廊下を並んで歩く。
「で、今日は真っ直ぐ帰るの?」
何時もの様に何気なく口を開く美穂に、両手で掴んだバッグをブラブラ揺らしながら歩く紗英が答える。
「んー…。今日はちょっと寄るトコあるからぁ」
「あっ、そう」
とりたてて問い詰めることも無く、アッサリと言葉を返す。
精神的に疲れていた美穂は、食い下がると余計に疲れる事を学習していた。
擦れ違う生徒達の視線を時折感じながら、二人は他愛も無い会話を続けて昇降口へと着いた。
「んじゃ、美穂ちゃんまた明日ねぇっ」
「アンタもさっさと寝なさいよっ」
毎朝時間に追われて走る紗英を危惧している美穂の言葉。
…アタシ…母親じゃないんだけど……
「分かってるってぇっ」
恒例の言葉を吐き出して嘆息する美穂に、紗英は分かっているのか分からない軽い言葉を残して別れたのだった。