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×アリエナイカノジョ×
第9章 ◆ Scene01
「…新学期早々…何の用なんだろ」
美穂と別れて廊下を進む。
最後の授業から既に時間が過ぎていることも有ってか、人影も疎らになっていた。
あまり人目に付く事も無く、新校舎から殆ど使われていない旧校舎へと足を運んだ。
普段は使われていなくても、新校舎同様に掃除が行われているだけあって、埃が見当たる事は無かった。
「…きっと……なんだろうなぁ……はぁ………」
判読できない手紙を除けば、いつも律儀に呼び出された場所へと向かう紗英。
今回も見知らぬ名前からの呼び出しに、きっと告白で有ると悟り始めていた。
父親への愛情が無くなったわけでもなく、接し方が分からなくなっていた。
嫌いでもなければ、以前のように目をハートにする事も無い。
同年代に目を向ければ、幼く思えて霞んで見える。
何時もの様に、断ることを前提に足を運んでいれば、自ずと気分は重たい物になっていく。
「…でも…シカトは………はぁ………」
静かな校舎を進む足取りは更に重くなっていった。
「………んんっ?」