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×アリエナイカノジョ×
第9章 ◆ Scene01
俯き気味に歩いていた目線を不意に上げた紗英は、違和感に声を洩らす。
使われていない旧校舎。
どの教室の扉もキッチリ閉じられている筈だった。
しかし、視線の先に有る教室の扉は、中途半端に開かれていた。
…誰か…居るのかな……
今まで数回、呼び出されて来てはいるが、一度たりとも人影を見た事は無かった。
新校舎の影となった薄暗い旧校舎に、用も無く来るような物好きも居なかった。
それだけに、不自然に開けられた一つの扉の存在が紗英の足を止めた。
…泥棒とか居るのかも…
…それとも…ふりょーさんたちが集まってるとか…
…もしかしたら…誰かがいちゃいちゃしてるとか…
想像は尽きない。
ドキドキと鼓動が速まる。
しかし、その扉の前を通らなければ、呼び出された場所へ辿り着くことも出来ない。
教室と廊下を隔てる壁には曇りガラスの引き違い窓。
通れば人影が映り込むのは必至だった。
更に昂ぶる鼓動。
「よしっ」