パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第1章 こんな一コマ

　
「この前…一緒にお風呂…入った…」

「ブッ!?」

　思わず吹いた。

　ウットリしながら遠い目で話す紗英から、一歩遠離った。

「あ、アンタ……その歳で………」

「……夢を見たの」

「…区切らないで言ってくれる？」

　このファザコンは時々手に負えなくなる。

「実際は、いつも寸前で拒否られる」

「それが普通じゃない？」

　本当に残念とばかりに深い溜息まで吐いちゃう紗英は残念だと思う。

　少なくとも見た目は男ホイホイの体をしてるのに勿体ない。

「…美奈ちゃんも…だよ？
　何で美奈ちゃん…彼氏出来ないのかなぁ？」

「っく………」

　また読心術。

　いつもなら切り返すトコだけど、今はやり返せない。

「まぁ…焦る事……ないよ………」

　自分にも言い聞かせてみた。

　気の利いた言葉も言えない事に、少し自己嫌悪になってきた。

「あっ…そろそろ………」

　僅かに空気が重くなって紗英が口を開いたと同時にチャイムが鳴った。