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×アリエナイカノジョ×
第11章 ◆ Scene03
 
…ある先輩って……自分じゃ無くて?……


 ますます分からなくなった紗英。

「あぁ。オレも単なるお手伝いだよ」

 小首を傾げる紗英に、男子は見透かしたように口を開いたのだった。

「取り敢えず…サエちゃんに好きな人は居るかな?」

「はえっ!?」

 突拍子も無い質問に、紗英から思わず間が抜けた声が洩れる。

「いやぁ、居なきゃ居ないで良いんだけどさぁ」

「そ、そ、そ、それはぁ………」

 ブルマの前で組んだ指を世話しなく組み替える。

 そんな仕草を男子は目を細めて見詰めていた。

「その様子だと…居るのかな?」

「あ、いや…その………」


…今までは…お父さんしか頭に無かったけど…
…そうで有っても…言えるわけ無いし…
…そもそも…今は……もう………
…そう考えたら………


「サエちゃん?」

「あっ…。そ、その…今は……居ない……かな? あは………」

 思考の渦に巻き込まれ掛かっていた紗英の歯切れの悪い言葉に、男子は薄く笑みを浮かべた。
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