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×アリエナイカノジョ×
第11章 ◆ Scene03
「あ、あの。それ…か、返して…下さい。さ、探して…たん…です」
最早、内容を知られていると思って間違いなかった。
それだけに、顔を赤くさせて鼓動を速める紗英の声は、尻窄みに小さくなっていく。
「学校一可愛いサエちゃんに…まさかねぇ………」
ニヤつく男子の言葉に、紗英は更にドキドキと鼓動を速めては、かぁっと顔を熱くさせた。
「そ、それ………」
恐る恐る右手を伸ばす。
腕を伸ばしながら、紗英の頭の中はグルグルと思考が駆け巡る。
…こ、こういう時って…
…美穂ちゃんの小説とかでも…
…脅されたりして…色々されちゃうんじゃ…
指先でプラプラ揺れる手帳まで僅かな距離。
あと一歩踏み出せば取れそうな所に居ても、あと一歩が踏み出せないでいた。
ニヤニヤした男子の顔が恨めしい。
「まぁ、サエちゃんの趣味も分かった事だし……」
「へっ!?」