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×アリエナイカノジョ×
第11章 ◆ Scene03
 
…や、やっぱり…これだけじゃ…済まないよね…


 次々と耳に飛び込む男子の言葉。

 押し潰している腕と胸の間が汗ばんでくる。

 いくら腕を巻き付けても、隠し切れていない胸。

 そこに突き刺さる視線が、ドキドキと鼓動を速めさせる。

「…まぁ…これ以上ムリなら仕方ないけど……オレとしても…それなりにしか………」

「ま、待って……下さい」

 言わんとしている事が推測できる。

 いくら美穂の為とは言え、これ以上の事をするのかと躊躇いが生まれる。

 逆に美穂の為だからこそと、腕を動かそうとする意志が生まれる。

 絞り出すように言葉を発したものの、紗英は鼓動を速めたままで動けなかった。

「あ、いや…ホントに無理強いするつもりはないからさぁ」

 そう言う男子の表情は期待に溢れていたが、顔を背けている紗英はそれを見る事は無かった。

「え、えっと……あのっ」

 ギュッと固く瞳を閉じた紗英。

 その両腕が動いた。
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