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×アリエナイカノジョ×
第12章 ◆ Scene04
「だからぁ、アタシはアンタに用は無いのよぉ?
アタシが用有るのは正行くんだけぇ」
正行に撓垂れ掛かる女子に、美穂の目が吊り上がる。
「あ、アンタ、場所ってもんを考えなさいよねっ」
練習に熱が籠もる体育館。
その中でも一際高い美穂の声。
「何だ何だ?」
「あれ、結城さんじゃない?」
「何か言い合ってるみたいだけど」
「…修羅場?」
当然、練習の手を止めて注目を浴びる。
ましてや、紗英と並んで普段から視線を集めている美穂なら、その注目度も早く伝染していった。
「あれ、土佐も居るよな」
「…確か…あの先輩って…」
壁際に立っていた美穂達を遠巻きに、半円を描くように立ち並ぶ生徒達。
撓垂れ掛かる女子の甘い匂いに鼻腔を擽られる正行も注目の的となっていた。
そんな中、同じ人垣の中に閉じ込められている筈の影人だけは、陰の薄さを生かして人混みに紛れようと企てていたのだった。