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×アリエナイカノジョ×
第12章 ◆ Scene04
 
「と、とにかくぅ………」

 囲まれた視線の中で、美穂の勢いが減速していく。

「だからぁ、アタシが用あるのは正行くんだって言ってるじゃなぁい」

 それに気を良くした女子。

 多数の視線など気にしないと言わんばかりに、正行に抱き付く。

 剰え、胸を押し当てて、開けたブラウスの胸元から胸の谷間を覗かせる。

 更には、小麦色の脚を絡ませれば、短いスカートの裾から太腿を見せるサービス付き。

 それには、周りを囲む男子からはどよめきが起こり、美穂の硬く握った拳をプルプルと震わせるのだった。

「と、とにかく、正行から…は、離れなさいよねっ」

 修羅場だとは思われたくない。

 かと言って、正行に女子が抱き付く光景も見ていたくない。

 その想いが、美穂に小声で叫ぶという妙な技を生み出させた。

「ま、正行も、何時までも抱き付かせてんじゃないわよ」

「いや、俺も逃げたいんだけどな………」
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