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×アリエナイカノジョ×
第2章 この一コマ
 
「むぅ………」

 叩かれた頭を擦りながら歩く。

 何故か無表情で早足になった美穂ちゃんに置いて行かれた。

 せかせか歩かれると、どうしても脚の長さからかついていけない。

 ちびだからとは思いたくないけど、事実だからどうしようもない。

 校門を抜けて、昇降口へと向かう。

「おはよぉ」

 クラスメートや友達の姿もチラホラと見掛ける。

 遅刻ギリギリの時間帯なのに大丈夫なのか、他人事だけど心配になってきた。

 上体を倒して脱いだ靴を下駄箱へと入れようとした時だった。

 靴を入れた途端にクシャという軽い音。

 顔を下駄箱に向けると、突っ込んだ靴に紙が押されて折れていた。

「………むむ………」

 上履きを履くと、下駄箱の奥から紙を取り出す。

 折り曲がった白い封筒。

 裏返すと聞いた事の無い名前。

「…またかぁ」

 いつもの事だった。

 毎週一回は、こうやって不意打ちで手紙が下駄箱に入れられる。

 どうせなら、上履きの上に置いて欲しかった。

「クシャッとしちゃったけど…」

 別にたいした期待はしてない。

 いつもの事。

 白い封筒を隣の美穂ちゃんの下駄箱に入れ直してあげた。

「美穂ちゃんの下駄箱くらいチェックしてよぉ…」

 若干の不満を抱きながら教室に向かった。


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