この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
×アリエナイカノジョ×
第13章 ◆ Scene05
「…なんかさぁ」
不安げな表情を見せる美穂に、正行は怪訝な面持ちを見せる。
「最近…あの娘……様子がおかしい気がするんだけど………」
「…そうか?」
教室の後ろで前方へと視線を向ける二人。
その視線の先には、机に両肘を着いて頬杖をついている紗英の姿。
「なんか、話し掛けても上の空って感じでさぁ」
「何か知らないのか?」
「アタシが知りたいくらいなんだけど…」
そう言って、背後のロッカーに寄り掛かる美穂の表情は曇りがちであった。
体育館の出来事から数日後。
正行に言い寄る先輩女子が姿を現さなくなった事に安堵するも、それが余りにも極端すぎて一抹の不安を感じていた美穂。
それと同時に、紗英の様子もどことなく違和感を覚えるようになっていた。
「ぱっと見は…変わらない気がするんだけどなぁ」
あれ以降も続いた球技大会の練習も、紗英は変わりなく出ていた。
それこそ、言動も雰囲気も正行には違いを感じられなかった。
「アタシには分かるのよ」