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×アリエナイカノジョ×
第5章 カノジョたちの一コマ
 
「葉山さんってさぁ………」

 何故か体を捩らせながら涙目になっている土佐くん。

「ん?」

 小首を傾げながら、胸元を閉じようとして諦めた。

 閉めようにも、ボタンが飛んでいったら仕方ない。

 美穂ちゃんの冷ややかな視線が痛すぎる。

「何だか噂と違って、ちっとも高嶺の華って感じがしないんだけどさぁ」

 涙目なのに視線は紗英のおっぱい。

 紗英だけじゃなく、隣の美穂ちゃんも気付いているのか、メニューの角で叩かれてる。

 メニューは武器じゃ無いと言いたい。

 紗英よりもかなり痛そう。

「勝手に想像されても困るんだけどねぇ…。紗英は普通のつもりだし………」

 押し付けられた偶像を守るつもりもない。

 勝手にそう思うなら思わせておけばいい。

 紗英だって周りと変わらないつもり。

「まぁ、一部分は普通じゃないけどねぇ」

 いい加減おっぱいを妬ましい視線で睨むのは止めて欲しい。

 美穂ちゃんだって大きい部類に入る筈。

 紗英だってこんなに育つとは思っていなかった。
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