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×アリエナイカノジョ×
第6章 ホンネの一コマ
 
【紗英 View】

「んじゃ、また明日ぁ」

 土佐くんがヤケに笑顔で腕を振ってくる。

 キラキラッと周りにお星様でも飛んでそうなイケメンぷり。

 心なしか、隣に立っている美穂ちゃんの表情がウットリしているようにも見える。

 もう付き合っちゃいなよと言いたい。

「ばいばぁい」

 そんな事など言える訳も無く、二人と別れて歩き出す。

「………」

 そして、紗英の隣には薄井くん。

 ホントに帰る方向が同じなのか、土佐くんと美穂ちゃんに何故かプッシュされて紗英と歩いていた。

「………」

 相変わらず、二人になると無言。

 そして、熱でもあるかのような赤い顔。

 土佐くんが居る時とはまるで別人。

 歩幅の狭い紗英に合わせてくれながら、チラチラと視線を向けてくる。

「………」

 歩き出してから数分置きに見てくれば、いやでも気付く。

 見下ろす感じで突き刺さる視線に気付かないほど鈍感じゃ無い。

 それでも、無言で居られると、何を言って良いのか戸惑う。

 でも、分かってる。

 薄井くんだって男の子だし仕方ない。
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