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×アリエナイカノジョ×
第6章 ホンネの一コマ
 
「あ………」

 薄井くんの小さな声。

 闇雲に歩いて、辿り着いた河川敷。

 夕暮れ時の川岸に二人の人影があった。

「あれ…先生と………」

「………」

 言わなくたって分かってる。

 メガネを掛けてる薄井くんさえ、暗くなりかけている場所でも誰だか分かる距離。

 紗英達に気付いていないのか、お父さんとその影に隠れている女性は体を寄せ合って佇んでいた。

「お父……さん」

 心の中がざわめく。

 二人から視線が外れない。

 親子なのに、普通以上の感情を持っている事は自覚している。
 
 二人を見ていると落ち着かない。

 薄井くんも気を利かせてくれているのか、紗英の後ろで黙った儘だった。

「………あっ」

 二人の顔が近付いていく。

 もう、ざわめきを堪える事なんてムリだった。

「あっ、ちょっと、葉山さんっ」

 薄井くんの言葉を背中に受けて走り出していた。
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