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第19章 契約

「君、ウチはどこ？」

「え？」

「いいから教えて。」

「………」

「早く！」

「豊中…」

「電車だね。じゃウチのが近い。こっち！」

無理矢理腕を引っ張る。

「ちょっと、何するんですか⁉︎離して！」

「黙って！ 心配しなくても友達の恋人を襲ったりしない。まずはその濡れた服と身体をなんとかしないと。身体が冷える。」

走ってきたタクシーを停め、彼女を押し込み、自分も乗った。
住所を告げ、家に帰る。

「どこに行くんですか？」

「俺の家。とりあえず、風呂に入って。嫁さんの服があるからそれ着て帰りな。」

「…あ、け、結婚、してる、の…」

ちょっと安心したみたいだ。さすがに嫁の居る家では何もされないと思ったんだろう。何もする気はないけど、今は独身だということは、ここでは言わないほうがいいだろう。