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パズル
第3章 崩壊
すべての始まりは、3年半前だ。
いや、もっと昔から始まっていたのかもしれないが、俺の家族の繋がりが、音を立てて崩れたのは、多分その辺りだと思う。
真面目な父親と、専業主婦の母親と、取り立てて仲がいいわけでも悪いわけでもない、兄と、弟。
それまで俺は、どこにでもある、ごく平凡な家族だと思っていた。
そもそも、小さい頃から弟とはあまり似ていなかった。
どちらがよくてどちらが悪い、というわけではないが、兄弟と言われるより、友達と間違われる事が多かった。
でも。
顔の似ていない兄弟なんてどこにでもいるし、特に気にしていなかった。
3年前の冬。
弟、博之は交通事故で死んだ。
自転車で高校から帰る途中、右折のトラックに巻き込まれた。
教習所のビデオでも観る、痛ましい事故。
まさか自分の家族に降りかかるなんて、思いもしなかった。
博之が死んでから、母さんが寝付くようになった。
放心したようになり、時々意味不明なことを言ったり、突然泣き出したりするようになった。
所謂、鬱、というやつだった。
いや、もっと昔から始まっていたのかもしれないが、俺の家族の繋がりが、音を立てて崩れたのは、多分その辺りだと思う。
真面目な父親と、専業主婦の母親と、取り立てて仲がいいわけでも悪いわけでもない、兄と、弟。
それまで俺は、どこにでもある、ごく平凡な家族だと思っていた。
そもそも、小さい頃から弟とはあまり似ていなかった。
どちらがよくてどちらが悪い、というわけではないが、兄弟と言われるより、友達と間違われる事が多かった。
でも。
顔の似ていない兄弟なんてどこにでもいるし、特に気にしていなかった。
3年前の冬。
弟、博之は交通事故で死んだ。
自転車で高校から帰る途中、右折のトラックに巻き込まれた。
教習所のビデオでも観る、痛ましい事故。
まさか自分の家族に降りかかるなんて、思いもしなかった。
博之が死んでから、母さんが寝付くようになった。
放心したようになり、時々意味不明なことを言ったり、突然泣き出したりするようになった。
所謂、鬱、というやつだった。